映画「秋の理由」/福間健二監督作品
映画「秋の理由」/原作
原作は、詩人でもある福間健二の、2000年に出版された詩集『秋の理由』である。本作タイトルもここから使っている。ここに収められた25編の詩は、1993年から1999年の間に雑誌などに発表されたものをもとにしている。
詩集のあとがきにはこうある。
「ここに収めた作品の半分ほどは、初出のものに手を加えている。その作業は、ウェールズでの一年の滞在を終えてもどった1999年の秋におこなった。気分としてはずっと秋がつづいていたが、いまは冬で、つぎは春になる。」
たぶん、本作の編集の間も、詩集のときと同じように「ずっと秋がつづいていた」のではないだろうか。
Phrases from poems in “Aki no riyu”

いくつもの
いままでの失敗を思い出してしまう
これからまた失敗することを覚悟して
曇り空を見る

この世界には
楽しいことがいっぱいあって
不意打ちの、美しい目から
秋がはじまる
わかってはいるが
うっかり、わたしは
いろんな通路に自分の登場しない夢を落としてきた

まちを歩く
たくさんの人とすれちがう
だれも「たすけてくれ」とはいわないが
ぼくも「苦しいか」とはきかないが

雑草です。
育てられなくても育つ草、です。

世界はまだ終わらずにトラブルの破片を
ぼくが何と何のあいだに体をおいても打ち込んでくる

空から地上に
電光文字の
「死」がいくつもおりてきて
音楽がきこえなくなる
「これからは
だれのこともそんなに好きになれない」
ときみはいった
きみは
背中をまるめて死んでゆく動物たちのために
広大な領土をよこぎる天使だった

理由はそれだけではないが

何百万人もの呪われた人間がぼくのまわりでしゃべっている
ぼくは来た
ぼくは行ってしまう
ぼくはまだ黒い芯をたかぶらせている

人に嘘をついても
自分をだましちゃいけない

ぼくたちは同じことを心配しているが、それを口にはしないだろう。
それを口にはしないが、ぼくたちは同じことを心配している。

クモにもダニにもなれるが、
液体をふくむとつよい毒になる。
黒く塗ったまちがった唇。
聞いてないふりをして
聞いてしまった命令だ。

まだ途中だ。
なにひとつ終わっていない。

ゆるされたと思うのは錯覚だが
この世界はいい匂いがする
自分の力でわかったことも少しはある
旅をして
長い列のうしろに並んで
キンモクセイの坂道の下
わたしは
顔や手に粘りつく暗示を洗いおとして
だれかが泣いているために
秋が来たわけではないことを知った